2026年、Jリーグは「春秋制」から「秋春制」へとシーズン移行を行います。この歴史的な転換に伴い、新たに創設されるのが「百年構想リーグ」です。
本大会は、シーズン移行により生じる公式戦の空白期間を補完する役割を担いながら、国際大会出場権や高額な賞金・助成金が用意された注目の大会でもあります。
本記事では、百年構想リーグの概要や発足の背景、大会方式、参加するメリットと想定されるリスクについて整理して解説します。
百年構想リーグ?
百年構想リーグとは、Jリーグのシーズン移行に伴い、2026年の春から夏にかけて(2026年2月7日~6月7日)限定的に開催される、Jリーグ所属全クラブが参加する公式大会です。
2026年からJリーグは、従来の「春秋制」から「秋春制」へとシーズン移行を行います。これにより、通常2月に開幕していたリーグ戦が8月開幕となり、約半年間の公式戦の空白期間が発生します。
百年構想リーグは、この空白期間を補完する目的で新設されました。
百年構想リーグが発足した理由
先述のとおり、「百年構想リーグが発足した最大の理由は、シーズン移行によって生じる公式戦の空白期間への対応です。
長期間公式戦が行われない状況は、選手のコンディション低下やモチベーション維持の難しさ、さらには稼働機会を求めた選手流出につながる懸念があります。
そこで、昇降格のない特別大会として百年構想リーグを開催することで、選手やクラブが実戦を通じて競技力を維持・向上させる環境を確保します。また、地域住民に開かれた交流機会を創出し、「地域に根差したクラブを100年続く存在にする」というJリーグ百年構想の理念を体現することも重要な目的とされています。
百年構想リーグの大会概要
- Jリーグ所属全クラブが参加
- 地域リーグ+プレーオフ方式で最終順位を決定
- 開催期間:2026年2月7日~6月7日
- 引き分けの場合、地域リーグは延長なし・PK戦で決着
(プレーオフは延長あり) - 特別助成金制度あり
参加クラブとリーグ分け
Jリーグ所属全クラブが参加し、ディビジョンごとにEAST・WESTに分かれて地域リーグを実施します。
- J1:J1所属クラブのみで大会を実施
- J2・J3:ディビジョンを分けず、合同で大会を実施
グループ編成にあたっては、降雪地域のクラブが特定グループに偏らないよう配慮するとともに、同一都道府県のクラブは原則として同じグループに入るなど、地域特性を踏まえた調整が行われています。
| J1 | |
|---|---|
| EAST | WEST |
| 鹿島アントラーズ | 清水エスパルス |
| 水戸ホーリーホック | 名古屋グランパス |
| 浦和レッズ | 京都サンガF.C. |
| ジェフユナイテッド千葉 | ガンバ大阪 |
| 柏レイソル | セレッソ大阪 |
| FC東京 | ヴィッセル神戸 |
| 東京ヴェルディ | ファジアーノ岡山 |
| FC町田ゼルビア | サンフレッチェ広島 |
| 川崎フロンターレ | アビスパ福岡 |
| 横浜F・マリノス | V・ファーレン長崎 |
百年構想リーグの特例レギュレーション
百年構想リーグでは、通常のJリーグとは異なる特別レギュレーションが採用されています。
【地域リーグ(J1/J2・J3共通)】
- ホーム&アウェイ方式
- 90分で決着がつかない場合はPK戦
- 独自の勝点制度
勝利:3ポイント
PK勝利:2ポイント
PK敗戦:1ポイント
敗戦:0ポイント
【プレーオフ(J1)】
- EAST・WESTの同順位クラブ同士がホーム&アウェイで対戦
- 各地域リーグ1位~10位の全クラブが参加
- 2試合合計で順位を決定
第1戦は延長あり(PKなし)
第2戦は延長・PKあり
【プレーオフ(J2・J3)】
- EAST-A・B、WEST-A・Bの同順位クラブによるノックアウト方式
- 各地域リーグ1位~10位の全クラブが参加
- 90分で決着がつかない場合は延長・PKあり
参加特典【J1クラブ】
百年構想リーグの優勝クラブには、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2026/27シーズンの出場権が付与されます。
この出場権は、J1リーグに通常割り当てられている3枠のうち1枠を百年構想リーグ枠として振り替える形で付与され、J1リーグの出場枠は一時的に2枠となります。
なお、百年構想リーグ優勝クラブが、後開催のJ1リーグにおいてもACLE出場圏内に入った場合は、J1リーグ順位を優先し、百年構想リーグ枠は繰り上げで次順位クラブに付与されます。
賞金・特別助成金・配分金(J1)
J1クラブに対しては、総額25.2億円の賞金・特別助成金・配分金が用意されています。
地域リーグ助成金
地域リーグでは、勝点1ポイントにつき200万円の助成金が支給されます。
- 勝利(3P):600万円
- PK勝利(2P):400万円
- PK敗戦(1P):200万円
- 敗戦(0P):支給なし
プレーオフ賞金
プレーオフでは、最終順位に応じて以下の賞金が付与されます。
- 1位:1億5,000万円
- 2位:6,000万円
- 3位:3,000万円
追加配分金
上記とは別に、全体配分として以下の助成金が支給されます。
- 理念強化配分金(競技順位):総額8.1億円
- 理念強化配分金(人気順位):総額2.7億円
- 特別助成金(1位~20位):総額1.2億円
参加特典【J2・J3クラブ】
J2・J3クラブに対しては、総額6.25億円の賞金・特別助成金・配分金が設定されています。
地域リーグ助成金
地域リーグでは、勝点1ポイントにつき50万円の助成金が支給されます。
- 勝利(3P):150万円
- PK勝利(2P):100万円
- PK敗戦(1P):50万円
- 敗戦(0P):支給なし
プレーオフ賞金
プレーオフの順位に応じ、以下の賞金が付与されます。
- 1位:1,500万円
- 2位:750万円
- 3位:250万円
追加助成金
特別助成金(1位~40位):総額6,000万円
百年構想リーグを開催するメリット
シーズン移行の影響により開催される百年構想リーグのメリットを紹介します。
メリット①空白期間のリスク低減
公式戦の空白期間を埋めることで、選手のコンディション低下や実戦不足によるパフォーマンス低下、移籍リスクの抑制が期待されます。
メリット②戦術的なチャレンジ
昇降格がないため、クラブは結果だけに縛られず、若手起用や新戦術の導入など、長期視点でのチャレンジが可能になります。
特に独自の勝点制度により、PK戦を見据えた戦略など、新たな駆け引きも生まれる可能性もあるでしょう。
メリット③地域交流と新たなファン層獲得
地域リーグ制により移動負担が軽減され、地域イベントや交流活動にリソースを割きやすくなります。
完全決着方式という新しい試合形式も、観戦体験の魅力向上に期待できる要素です。
百年構想リーグを開催するデメリット
次に百年構想リーグを開催することで想定されているデメリットを紹介します。
デメリット①クラブや選手への負担
新たな大会への対応には運営面・準備面での負担が伴います。
特にJ2・J3クラブはディビジョン混在による遠征や分析負荷が増える可能性が考えられるでしょう。
デメリット②移籍市場への影響
制度変更や新大会に対する不透明感から、海外選手の獲得に慎重になるケースも考えられます。
ただし、近年は欧州からの移籍事例が限定的であるため、影響は比較的小さい可能性もあります。
まとめ
百年構想リーグは、シーズン移行という大きな転換期における「つなぎ」の大会であると同時に、Jリーグの理念である百年構想を改めて体現する挑戦的な取り組みといえます。
短期的な成果だけでなく、中長期的に日本サッカーと地域社会にどのような影響をもたらすのか、注目される大会となるでしょう。
